写真同じです
細身のラグに対して大きめのニューマンダイヤルを備えた、
視覚的な錯覚と均衡の美を宿す一本。
一見するとビッグサイズに見えながらも、
腕元に収まったとき、その端正さが静かに輪郭を整えてくれます。
鈍色の艶、クロムの余韻。
クロムメッキが施されたケースと針は、
光を吸い込むような鈍い艶を放ちます。
アップライトのドットインデックス、角型プッシャー。
いずれもヴィンテージクロノグラフ特有の造形であり、
時代の手触りを残す意匠。
Universal Geneve Cal.281。
搭載ムーブメントは、ユニバーサル・ジュネーブ製「Cal.281」。
トリコンパックスをはじめとする複雑機構の基盤を支え、
ジラール・ペルゴなど他社にも供給された、
クロノグラフ史における静かな名機。
その鼓動は、語られる事なく技術の礎となっております。
“コンパックス”とは。
当時の言葉で“コンピューター”を意味する呼称。
複雑なクロノグラフ機構は、技術の粋を結集した工業製品として、
まさに“腕に宿る演算機”と呼ぶにふさわしい存在でした。
この一本もまた、記録と計測の美学を静かに体現しております。