ロシア構成主義傑作絵本『おろかな子ねずみ』1982年忠実復刻版 「芸術家から子供たちへ」シリーズ ウラジミル・レーベジェフが1920～30年代に築いた革新的な絵本デザインを、当時の技術と空気感のまま再現した資料価値の高い一冊。 レーベジェフはロシア構成主義の視覚言語を児童絵本に適用し、画面構成・視線誘導・余白・色面バランスを体系化した最初期の画家として国際的に評価されています。MoMAにも所蔵され、世界的に研究が進む存在です。 本作はその様式が最もよく表れた、極めてモダンな代表作。シンプルな線と大胆な構図、絶妙な色面配置が、幼児の視覚認知に働きかけるように作られています。 テキストはロシア児童文学の巨匠サムイル・マルシャーク。子守歌のリズムに乗せた“呼びかけと応答”の反復構造は、レーベジェフの画面と一体化し、舞台劇のようなテンポを生みます。この「詩と言葉と構図が完全に噛み合った」形式はロシア絵本に大きな影響を与えました。 本品1982年復刻版は、初版のデザインを忠実に復刻した旧ソ連最後期版で、復刻カバー下に“初版表紙”を収めた二重装丁。表紙をめくれば初版デザインが現れます。 印刷は復刻カバーを開くと、1920–30年代初版の表紙がそのまま現れる二重装丁。ホチキス中綴じは初版の体裁を踏襲したもの。印刷もオフセット多色印刷により活きた質感で、2004年日本版のFMスクリーン印刷とは異なる、レーベジェフ黄金期の絵本としての息づかいが味わえます。 日本の“幻のロシア絵本”復刻シリーズの一冊にも選ばれており、レーベジェフ作品の中でも特に評価が高い金字塔の作品であり、特に1982年復刻は極めて稀少、美しい状態ではまず出会えません。 ロシア絵本、構成主義、児童文化史を集める方にぜひ手に取っていただきたい、資料性・鑑賞性に突出した一冊です。 状態: 経年による小ヤケやスレ、裏表紙に小折れは見られますが、本体はダメージなく良好です タイトル: 『おろかな子ねずみ』(О глупом мышонке) 著者: サムイル・マルシャーク　 絵: ウラジミル・レーベジェフ　 出版社: RSFSR芸術家出版社　 発行年: 1982年 本文: 18ページ サイズ: 約220×286mm 言語: ロシア語 ※ヴィンテージ書籍のため返品不可。ご不明な点はお気軽に問い合わせください。